夏季限定トロピカルパフェ事件


買った読んだ読み終えた。


「夏季限定トロピカルパフェ事件」
春季限定イチゴタルト事件から一年。
本当の自分を隠すため、互助関係を続ける
小鳩君と小山内さんは長く熱い夏、一つの試みを行います。
その結末は?といった書き出しの米澤穂信先生第七冊目。


米澤作品未読の方へ


基本的には以下読んでも各作品の重要なネタバレ等はありませんが
軽い説明などちょこと出てまいりますので読書好きの方は
このエロゲ馬鹿サイトなど読む前に米澤作品を是非ご一読ください。


ちなみにお勧めは「さよなら妖精」と「氷菓」です。

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以下感想。


いつもと替わらずとっかかりなく読み始められる文章は
仕事帰りの疲れた脳でもすんなり読めるのがいいですね。
近頃のラノベは不思議な力や過剰な設定の応酬に嫌気がさしているので
こういう作家さんがもっと増えてくれるといいのにと思ってしまいます。
とはいっても今回は過去シリーズに比べて謎解きはちょっとモヤッと。
視点を誤った前提を与えるのは米澤作品の小さい謎解きにおいて
何度か使われてきたパターンですが今回のは不自然な気がしました。
ただ、自分の周りにああいうことを自然とする人はいないというだけなので
その違和感が納得いかないだけなのかもしれません。


さて、そんな不満点も僅かにはありましたが、
今回の作品、中盤から最後までストーリー展開は過去作品とは
またうって変わった謎解きの方向性とそれまでの雰囲気を
がらりと変える展開が待っていたことに自分は大喜びです。
米澤作品は基本的に一巻で完結しているので同シリーズであっても
次の本は読みたくはあっても早く続きを読みたいとは
思わなかったのですが今回のはとても続きが気になります。


また、キャラクターとしては、
前作では小山内さんが狼としての属性を隠し持つ意味合いが
作品上色付けの為の一設定のように感じられいまいち?だったのですが
今回は小山内さんという女の子が可愛いだけでは行うことのない
文字通り狼としての確固とした姿勢が感じられてとても面白かったです。
また、小鳩君が小山内さんを助けようと行動することに
彼自身言い訳と認識しつつも理由付けを行い肯定していますが
理由はともあれどんな方法を用いるのであれ友人のために
出来る限りの行動を行う小鳩君には好感が持てました。


次の秋季限定で二人の物語はどういう出だしを見せるのか
それだけをとっても待ち遠しい気持ちにされる「夏季限定〜」。
季節外れではありますが外れではない一冊でした。