彼女たちの流儀 その2 ネタバレ中心

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以下感想は多くのネタバレを含んでおります。
未プレイの方が読むと実作品の楽しみを損なう恐れがあります。
ご了解いただける方だけお進み下さい。
できればプレイされた方に読んでいただけると幸いです

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さて昨日に引き続きネタバレ編となります。
容赦なくいかせてイタダキマス。



結局タイトルは(胡太郎に対する)彼女たちの流儀(スタンス)ということで
あくまで主人公は胡太郎でしたが彼女たちのお話という印象を受けました。
自分個人として各シナリオに順位立てをするとこんな感じになっています。


キャラクター順位
朱音>涼月>千佐都>鳥羽莉>火乃香>せせり
シナリオ順位
涼月>鳥羽莉>千佐都>朱音>火乃香>せせり


順位として火乃香とせせりは両方とも下の方に位置づけられていますが
決してつまらないという感じではないので一筆。
火乃香は普段と趣味の傾向、常識の無さなどギャップの面白さがありましたし
せせりは活発な一生懸命さはよく伝わってきましたし胡太郎に対して
常に最もスタンスが明確だったのは彼女でした。
ただ、両者とも全体の筋でいえば準ヒロイン、
独自の世界観がしっかりと構築されているカノギの中では
火乃香は観察者として一歩引いた立ち位置にいる存在ですし
せせりはメインルート(鳥羽莉)との絡みが薄くあくまで一般人だったことなどが
全体の順位でみると下のほうになってしまったといった感じです。


ただ、それらのキャラクターがそれで終わらないのがカノギ。
せせりは涼月シナリオを成立させる為に、火乃香は白金家を成立する為に
別ヒロインのシナリオにおいて無くてはならない存在として
実に見事にそのキャラクターを発揮しています。
他のヒロインにおいてもその点は変わりなく特に鳥羽莉は八面六臂の大活躍と
いっていいでしょう。特に千佐都ルート、朱音ルートなどは
鳥羽莉なくして成立しない裏鳥羽莉ルートと言ってもいい気がします。



さてここからが本番。
まずは朱音。白銀家から学校まで常に出ずっぱりの彼女ですが
最も用意周到にキャラクターメイクされているのというのが感想です。
鳥羽莉の設定上どうしても作品が暗くなってしまうのを改善するため、
明るい性格が与えられ、ただ、そこで終わるのではなくバックボーンとして
幼少の時の病床生活から鳥羽莉への依存という自己内面の流れ、
幼少の時の体験から読書を好む→語彙が増える→博識化、
幼少の時の病床時胡太郎の作ってくれた話→演劇の台本化、
と実に丁寧に整合性を持たせて設定が付与されています。
その結果できたキャラクターが表面上は
あの実に自由奔放なそれでいて様々な知識を無駄に使う駄目なお姉ちゃん、
よくこれだけ面白いキャラクターを考え付くものですよね。
また、その設定上朱音の通常会話は会話の流れが読めないものが多く、
それでいて明るい性格上笑いと繋がるものが多かった為、実に面白かったです。


お次は千佐都。一般人代表です。
委員長+眼鏡+幼馴染というデフォルト設定の塊ですが
朱音と同じく鳥羽莉のカウンターとしてのキャラクターだと思っています。
朱音が鳥羽莉に対して全肯定なのに対して
鳥羽莉に対するコンプレックスが千佐都シナリオの核となっていましたが
実に女の子というより人間の独占欲がはっきりと感じられて良かったです。
全ての登場キャラクターの流儀の中では千佐都のそれが最も共感できました。
好きになった相手の気持ちが自分と同じでないと知った時にそれでも好きだから
SEXしようとなどとは自分は男の身として思っても口には出来ませんが
そう思う千佐都の気持ちは実に人間として真っ当だよなと思いました。
それ以後の千佐都の前向きな姿勢は大好きです。
鳥羽莉に対して決闘を挑む千佐都の戦いの姿勢は全てのヒロインの中で
最も流儀という言葉に見合ったものだったと思います。



続いてはメインヒロイン改め主人公鳥羽莉。
とはいってもあまり話すことは無いです。
もう、メインなんでこればっかりは実に申し分ないものです。
鳥羽莉の流儀はわかってしまえば実に納得のいくものですし、それでいながら
演劇の主役に胡太郎を抜擢する=一緒に演劇を行おうとする鳥羽莉には
もう人魚姫か何かのようないじらしさを感じるばかりです。
鳥羽莉エンドは1つ目と2つ目で好き嫌いが割と分かれる感じですが
個人的には2つ目が終わりでよかったと思います。
割り切ったようで本来持っていた鳥羽莉との数年間の時間を胡太郎から奪った
一つ目の鳥羽莉エンドはハッピーエンドのようでいて
相手に対して何の配慮も無い実に酷なバットエンドだと思いましたので。



以上がカノギ本編ですね。






さて涼月編改め、「不機嫌」シリーズ最新作の登場です。
不機嫌な妹、不機嫌な姉に引き続くは不機嫌な後輩ということで。
涼月編が「他とは雰囲気の違うシナリオ」と声優自ら言われていることも
間違いなくそういう意味でのことだと思っています。


さてその涼月シナリオですが実にいい出来です。
過去2作に比べても断然出来がいい。
そもそも主人公と女の子の二人しか出さなかった過去のシリーズと違い
演劇という趣味的な分野やせせりといった付加要素で
厚みが出ているというのもありますがせせりと涼月の関係一つとっても
リストカットからの流れは実に妖しく危うくそれでいて
密接につなげた物だと関心しきりです。
また涼月が夕焼けの屋上で語るシーンは
なんか語りかけられているみたいでぞくぞくきました。
まさかエロゲーキャラが自分のことを綺麗な○とかいうとは思わなかった…。
あとはおまけですがツン100%です。デレなどありません。
そんな自分のストライクゾーンにガツンときていてはもういうことはありません。








〜おまけ〜

2ch130cmスレ vol.39より
18日の演劇部のせせりの台詞
「よろしくお願いします、先輩!」
火乃香ルートの11/5の幕間III、杉浦の台詞
「はい……」
それぞれ再生した後待っていると面白いものが聞こえます。


皆さんよくこんなの見つけますね…。