不機嫌な従妹

これ発売したのいつだっけ?とオフィシャルで調べてみると
「初期リリース 2006年8月 」の文字が。
間に巫女神様も出てますから当然、去年の作品な訳です。


CG枠は5枚+立ち絵1枚(差分抜)からなる四章構成です。
「姉」の時も書きましたがCG数だけ見ると周囲の同人ソフトと
比べると大きく見劣りはします。この点が一番のネックです。
信者の視点抜きで考えればぱっと掴んだゲームでこのCG数だと
よっぽどのことが無い限り満足はしない気がします。


あとはまぁ、押しなべて高水準。
みやま原画で塗り本人の時点で信者はもう何も言えません。
同人レベルでは明らかに抜けていると思います。

なので少し視点を変えて。
不機嫌シリーズは現在までで4作+αと作品が発表されていますが
話の軸は作品が変わっても大きくは変わっていないと思っています。
ただ、作品毎の演出の方向性は大きく変わっています。


学校という空間と妹対兄、生徒と教師という関係で作られた「妹」
家庭と言う空間と兄と妹、流儀の派生としての側面を持つ「姉」
両方ともヒロインが闊達な意思表示をする作品ではありませんでしたが
作品は何がやりたいのかをはっきりと表示していたと思います。


ただ、正直、みやま零原画作品として自分が触れた最初の作品、
プリンセスブライド、ブレイドの持つ作品的な明るさとは
異なり、二作ともナイーブな結論で終幕となっています。
今、思うとどうもそこいら辺が作品性は理解しながらも
絶賛は出来ない点ではありました。


「従妹」も不機嫌シリーズである以上大枠はさほど明るい作品ではありません。
ヒロインは終始ローテンションですし、爆笑することもありません。
ただ、過去二作に比べて同様のテーマの中でも画面に明るさがあります。
作品の結末に日の光のような前向きさの欠片がありました。
その程度の違いなのですがヒロインのそのちょっとした心の前向きさが
たまらなく可愛く感じました。
過去二作を受けて三作目でそういった演出をあえてしたのであれば
見事にやられている自分はみやま零、まっこと恐るべしという他ありません。


というわけでみやま零は好きだけど暗いのは嫌だからやらないと言う方、
不機嫌シリーズの中では比較的陽の雰囲気を味わえる本作、ゲーム内時間も
夏ですし、八月末までのつなぎにちょっと手を出してみては如何でしょうか。
でも普通の人には「彼女たちの流儀」を買う方をお勧めします。