PRINCESS WALTZ -プリンセスワルツ-


ゴールデンウィーク直前エロゲ消費フェアの二回目です。
前作「お願いお星様」で強烈なラブエロコメディーを送り出した
PULLTOP たけや×椎原チームの二年越しの作品です。


PRINCESS WALTZ 初回版

PRINCESS WALTZ 初回版


以下ネタバレありです。ご理解の上お進み下さい。



〜基本構成〜
GAMEDISCとサントラの二枚組+説明書の構成。
説明書はイラスト集・原画集と合体しています。


以下その他基礎情報です。
CG枠 67枠(差分抜)
シーン枠 7枠
音楽 30曲



〜シナリオ〜
平凡な学生である主人公の学校に海外からの留学生がやってきます。
ただその留学生は普通の留学生ではなく王子様。
偶然、その王子様の秘密を知ってしまった主人公は王子様と行動を共にします。
プリンセスワルツ
王子様をめぐる王女様たちの戦いに身を委ねてゆくのです。


と、過去のたけや×椎原作品においても若干バトル物をやりたいと思わせる
素振りが所々あったのですが今回は全篇バトル物と相成りました。
その結果はと。
まず全体は話数構成19話を二つに分ける二部構成です。
また途中3つの選択肢でルート分岐しますがエンディングは同じになる
一本道のストーリーとなっています。


まず一部、ジャンルとしてはバトルロイヤル物です。
ストーリーは日常会話と戦闘が折り重なっていく形で進んでいきます。
日常会話はルンルンを筆頭に掛け合いなど面白いですし
戦闘は飽きる部分もありましたが個々の姫の能力がだんだんと明かされ
一部の姫は決闘で負け脱落していく、という展開は面白かったです。
キャラの持ち技に統一感が無いのはバトルロイアルとしてありだと思います。
装備や技の設定面でキャラがたっている姫(リーゼル・ルンルン)も
描写の面でキャラがたっている姫(アンジェラ・静白)もいい感じでした。
その反面、主役の剣の姫が一番技がないのとキャラがたっていないというのは
ちょっと残念でした。
主人公だからといって熱血で何もかも乗り切る展開は正直首を傾げます。
単純にノベル系のバトル物としてフェイトやアヤカシ、あやかしびとと比べると
展開の幅の広さや、戦闘の面白さ、戦闘シーンでのCG枚数で一段落ちる感じです。
ただ、一部単体で見ると盛り上がりはしっかりある許容範囲の展開でした。


さて、そのまずまずのバランスも二部になると陰りが。
姫同士のバトルは無くなり、戦う相手はガードナー(ザコ敵)に限定され
戦闘の面白さの幅は著しく狭まってしまいます。
一部で見せた姫たちの技が効果的に演出され使われるということもありません。
また、展開を急いだためか、描写が雑になり盛り上がりにも欠けました。
そして終盤の展開には主人公が誰が好きなのかわからないという
大きなダブルスタンダードを抱えており
結果とするとゲームを終えて主人公がただ不誠実な人間に見えてしまいました。
純愛系エロゲーとしての色合いを持つゲームとしては如何なものかと思います。



SLGパート〜
PULLTOPとしてはかなり挑戦的なシステムに売って出たと思います。
その挑戦心は評価したいのですが結果は芳しくありませんでした。


1.プリンセスワルツと連動していない
  中盤までの話の中心となるプリンセスワルツですが
  この戦闘に対してSLGが使われたのはわずか一度だけ。
  SLG自体は全篇通してかなりの回数があるのに
  この大事な部分であえてSLGを使わないのはもったいないです。
2.緊迫感がない
  少しやるとわかるのですが基本的にイニシアチブさえ取れれば
  攻撃を受けないのでダメージが相手に当たらないことはあっても  
  負ける確率は激減します。全篇通して全ての敵は5ターン以内で
  戦闘終了することは容易ですしその結果、折角入った経験値を
  作業的に振るだけの形となりました。
3.ラスボスとSLGで戦わない。
  ある意味画期的ではありますが、問うまでもなく致命的です。


結局この結果はノベル系ゲームでのバトル描写とSLGを合い混ぜにしながら
戦闘毎にどっちかで行うという構造設計上の問題だと思います。
重要な戦闘をシナリオライターが描くのは構わないのですが
文章に終始するのであればわざわざ作ったSLGは猫に小判
魅力的な敵キャラやボスキャラと戦ってこそのSLGパートだと思います。



〜エロ〜
さて褒めどころ。
たけやまさみの絵がとんでもなくエロいです。
パッケージの裏を見て今回のエロCGを始めて確認したのですが
お星様の時よりはるかに肉のつけかた、汁度合いが発展していて
結果、艶かしさが急上昇していて驚きました。
純愛系のCGで、CGだけ見てこんなにエロいと思ったのは久々です。
途中クリスと風呂に入る所とかあるのですが脚の差分一枚で
あれだけエロくさせれるのは心底尊敬します。
また各キャラクターの表情付けが巧妙でした、特に驚きの表情は
本当にいい顔させています。
これでお星様並みのエロがあればとんでもない事になっていました。
たけやまさみの次回作には是非エロエロをと心の底からお願いしたいです。
エロシーンとしては特に数はまぁこんなものかと思います。
ちょっと気になったことがあったとするとエロが主人公の能力向上の為に
と、いう理由で行われていたことです。
わざわざそんなところまでフェイトしなくてもいいんじゃないでしょうか。



〜その他〜
説明書に対談が載っていますが堂々とネタバレする意味が分かりません。
小説のあとかぎの開始二行で大きくネタバレみたいな感じでした。
ちょっと脇が緩いと思います。



〜総括〜
たけやまさみに思い入れのある人だけは是非購入。
正直二年越しの新作としては残念な出来でした。
迷っている人はよく考えてから購入を。


個人の意見としてはたけやまさみの絵に心奪われています。
次回作は是非おね星の方向性でなにとぞよろしくお願いします。